Artilligent School 講演
ITの成長の限界、クオリアのプレミアム、脳の感情のシステム、記憶と創造性、 文學界連載、セレンディピティ、質疑応答「セレンディピティとは何か」、「私のセレンディピティ」
六本木ヒルズ
MP3, 25.1MB, 110分
クオリア日記より抜粋
六本木ヒルズのArtilligent Schoolで、
「クオリアをデザインする」というタイトルで
講演。
聴衆の多くが、静岡大学の小二田誠二先生の
学生さんたちだった。
文学専攻の人が多い、と聞いて、
急遽「文學界」の今までの連載と取り上げた
作品の一覧表を作成。
坊ちゃんの「赤シャツ」問題と、最新の
小林秀雄と坂口安吾の関係から「愛することに
よって弱さが顕れる」ことを論ずる回に
ついて詳しく説明した。
最後は、Horace Walpoleが「セレンディピティ」
(偶然幸運に出会う能力)という言葉を発案した
手紙を紹介、セレンディピティが高い人と
低い人はどこが違うのか、自分の人生の
中で最大のセレンディピティは何で
あったかと質問した。
それに対する学生たちの答えが面白かった。
mp3の最後の20分くらいにある。
私が一応用意していた「答え」は、
偶然の出会いは誰にでもあるけれども、
その時にその出会いに「気づいて」、
いろいろ考え、吸収して自分のものに
することができるか、つまりは
「偶然」を「必然」にすることが
できるか、というものだった。
脳は外界といろいろやりとりしながら
変化して行くオープン・システムである。
「セレンディピティ」はopen dynamical
systemの脳の本質に関わる能力だ、ということ
になる。
そうしたら、ある学生が、「自分がある
能力を持っていることに気が付いたこと」
がセレンディピティだと答えた。
これは大変面白かった。
普通、外部性はトポロジカルに脳の
「外」から来ると思うけれど、脳の「内」
から来る偶然的要素もあるということだ。
そこにメタ認知が絡んでくる。