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[クオリア日記より抜粋]
吉本隆明さんのお宅は、猫が
沢山いた。
ピエール・マルコリーニは、吉本さんへの
心づくし。
吉本さんには初めておめにかかったが、
とにかく現代の人ではない、
昔、人間がもっと大らかで広々としていた頃の
人、という印象。
お話を始める。
しかるべき場所で改めてきちんと書くが、
うかがうに従って、自分がやはり
類い希なる思想の巨人と接しているという
感動が深まっていった。
古典的な知識性が
不可能になっていき、文学も次第に
やわらかくわかりやすいものになっていく
ことは、一つの必然的な歴史の趨勢だと
吉本さんは言われた。
三木成夫やゲーテが立ち止まってしまった
場所から、いかに科学主義に接続するか。
逆に、科学主義の知が思想的、哲学的には
深まらないという問題をどう考えるか。
次の時までに考える宿題が出た。
吉本さんの家を辞す。
竹内薫と、東京ドームで待ち合わせ。
報知新聞の山本理さんにいただいた
チケットで、巨人対中日戦を
観る。
試合は巨人が良いところなく負けたが、
バックネット裏から野球を見るのは
初めての経験で、
その臨場感、迫力のシャワーは
格別であった。
山本さん、ありがとうございました。
試合終了後、ソッコーで帰宅、
休む。
やることなどあり、朝早く起きて
カラスの声を聞いている。
こんなことをしていて、
風邪がちゃんと直るか。
それでも身体には底力があるもので、
何とか上昇カーブに乗っているような
気もする。
振り返って、
吉本さんにお目にかかったことは、
我が人生でも記念すべきことだった。
いろいろと反芻し、波紋を共鳴させる。